Yasuko Yoshimatsu

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著書出版記念インタビュー

著者 / 吉松泰子 インタビュー

現場で問い続けた、
看護と介護の本質。

人生を、最期まで自分のものとして
生きてもらうために。
吉松泰子が語る、
執筆の背景とこれからの挑戦。

インタビュー風景
執筆中

Q.この本を書こうと思われたきっかけを教えてください。

吉松私は、看護や介護の現場に立ち続けるなかで、ずっと胸に引っかかっていたことがありました。老いや病によってできないことが増えていく中で、「自分の人生はもう終わった」と感じてしまう方があまりにも多い。その苦しさの正体は、老いそのものではなく、人生で培ってきた価値観や誇りが尊重されなくなることにあるのではないか。そうした思いを、きちんと言葉として残しておきたいと考えました。同時に、その苦しみは決して抽象論ではなく、関わり方や環境を少し変えることで和らげることができる、という実感も現場で積み重ねてきました。だからこそ、この本では「思い」だけでなく、私が現場で実践してきた考え方や視点、方法論も含めて残したいと思ったのです。

Q.幼少期から思春期の体験も率直に描かれていますね。

吉松破天荒な父のもとで育った幼少期は、なかなかのものでした(笑)。家庭の中に安心できる居場所があるとは言えず、さらに中学時代にはいじめも経験しました。今振り返ると、早い段階で「人は居場所を失うと、こんなにも苦しいのか」ということを、身をもって知った時期だったのだと思います。

幼少期の写真

父と並んで撮影した写真。当時の記憶が、現在の「居場所づくり」への原動力となっている。

Q.その体験は、現在の看護・介護観につながっていますか。

吉松はい、強くつながっていると思います。人は、自分の存在をそのまま受け止めてもらえたときに、初めて安心して生きられる。看護や介護の現場でも同じです。看護・介護とは、処置や管理ではなく、その人が歩んできた人生そのものを尊重し、「最期まで自分の人生だった」と思っていただくための関わりだと考えています。人生の物語を、最期まで完成させる仕事。それが看護・介護の本質だと思います。

Q.“日本一の老人ホーム”という評価を受けたときのお気持ちは?

吉松うれしさよりも、「よかった」という安堵の気持ちが大きかったですね。私たちが大切にしてきた理念は間違っていなかったのだと確認できた。それだけです。日本一はゴールではありません。むしろ、これからも問い続けなければならないという責任を感じました。

Q.この本を、どんな方に読んでほしいですか。

吉松看護や介護、医療の現場で働いている皆さんには、ぜひ読んでいただきたいです。日々の現場で、何が正解なのか迷いながらケアに向き合っている方も多いと思います。本書では、理念を掲げるだけでなく、それを実際のケアプランの中でどう形にしてきたのかについても触れています。現場で判断に迷ったときの、一つの視点として受け取ってもらえたらうれしいですね。同時に、一般の方にも手に取っていただきたいと思っています。かつての私のように、いじめや家庭環境の中で「自分には居場所がない」「自分の人生には価値がない」と感じたことのある方にとって、この本が小さな支えになればと思います。いじめられっ子だった私が、特別な才能もなく、ただ信じたことを続けてきただけで、ここまで歩いてきました。その事実が、誰かの希望につながればうれしいですね。

Q.最後に、読者へのメッセージをお願いします。

インタビュー風景

吉松この本は、答えを与える本ではありません。読み終えたあと、ご自身の人生をどう生き切りたいのか、そっとご自身に問いかけてもらえたらと思っています。また本書の中では、私どもが運営し、「日本一の老人ホーム」として表彰された、地域と共にある「街」のような老人ホーム「アクラスタウン」についても紹介しています。理念を現場でどう形にしてきたのか、関心を持って読んでいただけたならうれしいですね。地域に開かれた場所として、カフェやギャラリーもありますので、もし機会があれば、実際の場の空気に触れてみていただけたらと思います。

書籍のご案内

インタビューで語られた想いが詰まった
書き下ろし自叙伝です。

書籍表紙
いじめられっ子少女「やっこ」が
日本一の老人ホームをつくった話

定価: 1,320円(税込) / 株式会社誠心

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